フグになったりする…そっちの方が望ましい

スズメフグことショウサイフグ

フグ刺しの美味しい季節になってきました。駆け巡る脳内物質…テトロドトキシン…脳内? いつの間にやら、脳内でフグ毒を生成できるようになったみたいです。なにしろ最近ままならぬこと*1が多くて、「フグ(ゥ)を囲っておりますから」。
と言うわけで、昨日読んだ『サムライ雀鬼』(画・麻生竜也+作・高山潤+脚色・武市英介)という作品に登場する死に方には痺れました。
まず、麻雀を通じて日本を乗っ取ろうとする国際組織「クモ」の幹部、田所さん。任務に失敗して粛清されます。

サムライ雀鬼1
pp.176

そして、「クモ」最強の打ち手、ジョーの死に方は…

サムライ雀鬼2
pp.270

見づらいですが、1コマ目の下でグッタリしているのがジョーです。ナイフが刺さってます。主人公を刺そうとしてコケて、自分の胸に突き刺さりました。上で彼を揺すっているのが母親のサラ・シモンさん。「クモ」のボスです。サラさんの告白。

サムライ雀鬼3
「ジョーは ジョーは私の子供なのです 私はジョーを世界一麻雀の強い男にしたかった…」「世界一強い男にして日本の麻雀界を支配させようとしましたが…… ジョーは日本にいる間に私の知らないほどの変わりようでした……
pp.270

身勝手な動機はさておき、日本に来て彼の何が変わったかと言うと、

サムライ雀鬼4
コーヒー好きのジョーは日本に来て濃いコーヒーをがぶ飲みして中毒になった! コーヒーが切れると錯乱状態になり 飲めば治るが その一瞬頭のなかが真空のようになってしまうのだった
pp.271

だそうです。読み返してみると、確かに彼は幹部会議の時、誰も飲み物を飲んでないのに1人だけコーヒー飲んでたりします。細かい伏線だなぁ。
そしてサラは日本侵略を諦めて帰ります。さわやかな締めくくり。

サムライ雀鬼5
pp.271

アメリカ人の遺灰の抱え方ってこれでいいのかしら? 飛行機がこっち向いてるのは離陸なの? と疑問がよぎりますが、それを問題にしない構図の安定感です。でもこんなラストでいいのかしら?
あと、今の今になって気づいたんですが、多分これ、「アメリカ人は薄いアメリカンコーヒーを飲みつけているから、日本の濃いコーヒーにあたった」っていう理屈なんだと思います。火星から来たエイリアンが風邪のウィルスにやられたみたいなもんですか。
今やアメリカ人はイタリアンローストのエスプレッソだのフレンチローストのカフェラテだの、煎りの深いコーヒーばかり飲んでいるというのに。1979年の作品を読む時には、その時代背景をしっかり考えなければなりませんね。そういう教訓話でした。



*1:主にホークスのプレーオフがらみ